なんでも屋 神…最終幕
毎朝、駅や電車に捨てられている雑誌を拾いに行き、それを転売して日銭を稼いでいる大さんの仲間に頼んで、見かけたら教えて欲しいと言ってあった。



もしかしたら見つかるかもしれないという賭だったが、俺の予想は四日後にその答えを出しただけ。



出来るだけ考えないようにはしていたが、賭事に強いのは母親譲りという、小さな確信が心の何処かに有ったのも確かだ。



「そっか、成る程ね。あんた…じゃなかった、有り難うねなんでも屋さん。」



そう言って心から素直に笑った千里の表情に、今までのギスギスして大人ぶった様子は微塵も無かった。



十六歳の少女に戻った千里は、豊かな笑みが溢れるまま立ち上がり、そのまま目を細めて太陽を見つめていた。
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