なんでも屋 神…最終幕
「さっきより太陽が近く見えるだろ?」



俺の問いに対する千里の答えは、ギラギラと照りつける太陽にも負けないくらいの、眩しい笑顔だった。



「じゃあ、私はもう行くね。」



俺も日陰でも微妙に熱の籠もったアスファルトから立ち上がり、歩き出した千里の背中を見つめた。



十六歳の少女が背負うには、余りに重すぎる運命だが、千里の足取りは、背中に羽が生えたように軽やかに見える。



持ち込まれた依頼を受けるだけでは、救えない事も有るのだと学んだ、暑すぎる七月の一日だった…。
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