なんでも屋 神…最終幕
優香とも別れて事務所に戻った俺は、窓を開けて、太陽から夕日へと変わっていく様子を、ただただ眺めていた。



太陽や月には、その時の自分の感情を表してくれる色が有るような気がしてならない。



尤も、そんなものは見る人で変わっていくのだけれど、あの二つの恒星と衛星には、それすらを叶えてしまうような、不思議な力が有るのではないかと偶に思う。



初めてこの事務所に訪れた時の仏頂面から、我慢していた涙を流した泣き顔…そして最後に見せた晴れやかな笑顔。



ビルの谷間に消えていく夕日の中に、千里との数少ない思い出を映しているのは、勿論気が有るからなんて理由じゃない。



今回の件はクラブドラッグの事後処理…ヒロが言った言葉が、細波のように脳内で反芻をしている。
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