なんでも屋 神…最終幕
そう言ったヒロに対し、俺は依頼の範疇を越えていると言って、冷たく突き放すような形を取った。



その言葉に偽りは無いけれど、事務所に訪れた時点で救う手立ては無かった事が、もう少し早くクラブドラッグの件を解決していればと悔やませる。



そうすれば、千里が俺の前に現れる事も無く、寿命が続く限り生きられたのだ。



そんな事は綺麗事だという事も分かっている。



俺の前に現れないだけで、今も後遺症に苦しんでいる人や、命を落としている奴も居るだろう。



その全ての人を救えない分だけ、早期に解決していれば…と思うのは、俺にとっては今後の戒めだ。



例えそれがドラッグに堕ちた人間の罪でも、去り行く千里の背中を見て、感傷にも浸れない人間にはなりなくない。
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