なんでも屋 神…最終幕
見せびらかす為でも、見栄を張る為のものでもない俺の彫り物は、見えないに越した事は無い。



だがそうする事により、夏を過ごし辛くなった事には、少なからず後悔の念は抱いていた。



それも俺が犯した罪の一部。



償う為に必要な苦労だと考えれば、Tシャツに火が付きそうなこの暑さにも、少しは耐えられる。



「どう?気持ち的には少し落ち着いた?」



あれから数日しか経っていないので、優香の中で気持ちの整理を付けられたのかが心配だった。



「昨日千里から電話があって、家族でお父さんの実家がある田舎へ引っ越す事に決めたそうです。声を聞くまでは悲しかったけど、電話で千里の元気な声を聞いたら、なんだか安心しちゃって。」
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