子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「ち、違う! ぜっんぜん、違うから! あたし、まだ期待してません! 心の準備も全くできてませんから!!」
ぜぇぜぇと肩で息をしながら、あたしは必死に圭くんに訴える。
勝手に結論付けて、あたしの気持ちを無視で強引にされちゃったりしたら、たまらない。
そりゃさ、いつかは…って思うけど、あたしは初めてなわけだし、こう自分の中で心の準備をしてからゆっくりと進めたいっていうものもあって……
「ふ~ん」
その目は全然、わかってないよね?
あたしが言ったこと。
冷めた目であたしのことを見ている圭くん。
絶対に、今あたしが言ったことも、
「こいつは、何をよくわからないこと言ってんだ?」
ぐらいにしか思ってないはず。
「・・・茅乃・・」
急になぜか、艶のある声で呼ばれ、あたしはぴくりと反応する。
なぜなら、圭くんがそっとあたしの頬を手の甲で撫でたから。
色のある声とその目に感じる欲に、あたしの心臓はうるさいほどドキドキと鳴り響く。
手の甲でスゥ~…と頬を撫でていた圭くんの手はゆっくりと顎へと降りて行き、いつの間にか指で鎖骨へと伝っていく。
その指の動きが、やけに艶めかしくて、あたしは何の反応もすることができずに、ただ固まったまま………
「そんなに不安そうな顔するなよ…。俺、初めから言ってるだろ? お前の気持ちを待つって……。だけど―――…」
固唾をのむように、あたしはただじっと圭くんの紡ぐ言葉を待つ。
「俺も男だから…。つまみ食いぐらいはさせて…」
圭くんはそう言うと、制服のネクタイをスルリとほどく。