子供+大人=恋?の方程式(応用編)





 逸らしてしまってから、最大限に後悔が押し寄せる。


 こんな風にあからさまに視線を逸らしたら、圭くんにまたいじめられる~…。


 圭くん、ほんの些細なことでも、鬼の首取ったみたいにしてあたしのことからかったり、いじめたりしてくるんだもん。


 それがわかりきっているのに~…


「―――お前…」





 ドクンッ!


 き、きた~~~!!!


 一体、何をされるんだろう?


 何を言われるんだろう?


「いつまで、そのままでいるつもりなんだ? 体勢、きつくないか?」


「―――へ? 体勢?」


「手。解いてやってるだろ?」





 指を指されてから、あたしは上に拘束された状態の手を自分の目の前へと持ってくる。


 そして、その手をジッと見つめた。


「ほ、ほんとだ…」





 そう言えば、縛られていた感触が緩くなった気がしてたけど、気のせいじゃなかったんだ………


「お前、どうする? 先に風呂入るか?」


「へっ!?」


「お、お風呂っ!?」


「ああ。いくらなんでも、入らないと気持ち悪いだろ? いくら寒い時期だとは言っても………」


「う、うん……」





 それは、そうだけど―――…。


 圭くんからの有難い申し出。


 だけど、お風呂に入ったその先はどうなるの?


 とそのことが気になるあたしは警戒心を解くことができない。


 そんなあたしの心情は表情に表れていたんだと思う。


 圭くんは怪訝な感じに眉を顰める。


 それから、フイッと顔をあたしから逸らし、前へと向き直った。





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