子供+大人=恋?の方程式(応用編)
車はすぐにアパートに着いた。
この時間は道も混んでいなくてスムーズに動いていたからいつもよりも余計に早く着いた。
ハァ…と一つため息を吐いてから、あたしは車を降りて、圭くんの後をついていく。
別に、ここに来るのが初めてというわけじゃない。
これまでだって、何度もあった。
だけど、こんな時間にわざわざ圭くんの家に来たのは初めてで、この夜という独特の雰囲気にのみ込まれそうになった。
部屋のカギを開け、促されたあたしは「おじゃまします…」と小さく挨拶をしながら、その部屋の中へと足を踏み入れた。
ここに入ってしまったら、もう逃げられないということを知りながら―――…
「悪いな。
明日の予定、キャンセルするような形になって」
「あ、ううん。
別にそんなこと気にしなくていいのに」
あたしは、明日のデートがなくなればいいと内心本気で思ってたし―――…
「ま…、お前はそう言うと思ってたよ。
だから、癪なんだよな。
お前の思惑通りに事が運んじまったことに」
「なによ、それ。
だから、こんなところに夜遅くに連れてきたってわけ?」
「まあ、それも一理あるな。
適当に座ってろよ」
そう言うと、圭くんはキッチンへと向かう。
向かうと言っても、この部屋はワンルームの一人暮らし用の部屋。
キッチンも部屋の中にあるようなもの。
かちゃかちゃと用意する圭くんの後姿から目を離すと、あたしは部屋の中を見回した。