子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「俺が乾かしてやるから前に座れって言ってんだよ!」
「べ、別にいいよ~。自分で髪乾かすぐらいできるし……って、なんで圭くん、そんな目であたしのこと見てくるの?」
「お前の言うことが信じられないからだよ。お前、適当に済ませそうだからな」
俺の言ったことは的を得ていたらしく、茅乃は気まずげに俺から視線を逸らせる。
やっぱりな……
「ほら、早く座れ。俺もさっさと風呂入りたいんだよ」
「だから、いいって言ってるのに……」
「ぁあ?」
ブツブツ未だに言い腐っている茅乃に凄んでやると、茅乃はビクッと体を震わせた後、しぶしぶという感じで俺の前に座った。
ドライヤーのスイッチを入れ、前に座っている茅乃の髪に指を通しながら、髪を乾かす。
ドライヤーの風圧により、茅乃の長く綺麗な髪が舞い上がる。その時に微かに茅乃の髪から匂ってきたシャンプーの香りがいつも嗅ぎ慣れている俺と同じ匂いだということに気づく。
―――や、やばい…。
茅乃が俺と同じシャンプーを使ったという事実に、妙な高揚感が湧き上がる。
おまけにこの位置からだと、見ようと思って見たわけではないけど、茅乃のふっくらと膨らむ柔らかな胸が目に入ってしまう。
やばい…。
意識すると、自分の体が反応する。
だからこそ、なんとか冷静を装って、茅乃の髪を乾かすことに神経を集中させる。
「―――なんか…」
「なんだ?」
ドライヤーの音の間から、微かに聞こえた茅乃の声に、俺はドライヤーのスイッチを止め聞き返す。
「あ、いや…、別になんでもないよ………」
どんどんと小さくなる声。
とてもじゃないが、“なんでもない”とは思えない。