子供+大人=恋?の方程式(応用編)
*
「・・・う、嘘だろ?」
風呂から上がって脱衣所から出てくると、俺はテーブルの上に並べられている料理の数々に、思わず足を止めた。
いやいや、風呂から上がって服を着ている時に、微かに旨そうな匂いがしてたのは知っていた。
だけど―――…
まさか、こんなにすごいとは想像もしてなかった………
「あっ! 圭くん、あがってきた~?って、あたしに散々髪を乾かせってうるさかったくせに、自分こそ乾かしてないじゃん!」
なぜか的外れなことで怒っている茅乃。
だけど、今の俺はそれどころじゃねぇ。
急いであがってきたのは、茅乃に任せてみるとは思ったものの、流し台とかが大変なことになってるかもしれないという心配からだ。
それなのに、この料理の数々はなんだ?
こいつ、俺と同レベルぐらいか、それよりも下だと思っていた料理の腕だったのに、予想以上にできる―――…
「お前…、本当は料理できたんだな」
「何よ! もしかして、あたしが言ったこと信じてなかったわけ? 簡単なものぐらいは作れるって言ったでしょ!」
確かに言ってはいたが―――…。
簡単なもの…ってレベルじゃないだろ。
俺が言っていた簡単なものっていうのは、ラーメンか焼き飯ぐらいってことだ。
俺は卵焼きも焼けねぇぞ。
献立は至って和食という感じだった。
卵焼きに汁物。
それに、煮物。
この短時間で、あの材料でこれだけを作ってしまうレベルって、それなりだろ。