子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「お前、出汁とかって―――…」
「ん? 顆粒出汁の素とか昆布とかはなかったけど、探してたらこんなものはあったから」
そう言って、茅乃が自信満々で取り出したのは『うどんだしの素』
「うどん…?」
「ちょっと、顆粒出汁とは味が違うけど、これはこれで美味しいはず! 本当は焼き魚とか他にもいろいろと作りたかったんだけど。食材がね――…」
当たり前だろ。
俺は料理をしないんだから、普通に食材買ってても、腐らせるだけだしな。
「お前、家とかでも料理したりするのか?」
「うん…、たまにね。ほら、ウチのママって、あんな感じじゃない? だから、突然、晩御飯食べてくるとか言い出したり、テレビのドラマに夢中になってたら、晩御飯を作るの忘れてたとかってことが、結構あるんだよね。―――てことで、自然と身につきました」
「それは、すげぇな……」
うちのお袋も大概だけど、茅乃のところはそれ以上か――…。
それに、たぶん晩御飯を食べてくるという相手は、ウチのお袋だろうな。
「そんなことはいいから、圭くんは早く髪を乾かしてきて! もう少しで、ご飯炊けるから」
「お、おう…」
背中を押され、洗面所に押し込まれた俺は、茅乃の言葉に素直に従った。