子供+大人=恋?の方程式(応用編)






     *











 テレビから流れてくる音に耳を傾けながらも、俺の意識は違うところにあった。





 茅乃が用意してくれた晩飯も食べ終え、二人で話すこともなくジッとテレビへと視線を向ける俺たち。


 茅乃がどう思っているかは知らないが、テレビを見ていながらも、俺の意識は常に茅乃に向いていて、茅乃が少し動いただけでそれに反応してしまいそうになる俺。





 恋愛初心者か!?





 自分で自分を突っ込みたくなる。


 経験はそれなりに積んでいるつもりだ。


 なのに、茅乃が相手だと、一晩一緒にいるだけでこんなに狼狽えている俺って―――…





 今までに感じたことのない自分の感情に戸惑いっぱなしだ。


「ふわぁ~…」





 そんなことを思っていると、口を押えながら茅乃が欠伸をした。


 欠伸をしたために自然と目に浮かんだ涙をぬぐいながらも、眠くなってきたのか目が虚ろになっていた。


「眠いのか?」


「へ? ううん」





 首を横に振って否定するが、明らかに眠そうな茅乃。


 こんなことで、意地を張るなよな~…


「そろそろ、寝るか…」


「えっ!?」





 なぜか、俺のその言葉にビクッと反応する茅乃。


 “ゴムがないから、今日はできない”宣言をしてから、気を抜いているものだと思っていた俺。


 だけど、茅乃も意識をしているみたいで―――…。


 それが、無性にうれしかった。





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