子供+大人=恋?の方程式(応用編)
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手持無沙汰もあり、まだ提出期限には余裕があるレポートをしていた俺は微かに感じる自分の後ろの気配に振り返った。
一応、集中していたため、全然気づかなかったが、なぜかベッドに入っていた茅乃がいつの間にか起き上っていて、ベッドから降りようとしていた。
「おいっ…」
突然の茅乃の行動の意味がわからない。
だが、見ていると目はとろんとしたままで、頭も微かに横に揺れている。
どうやら、寝ぼけているようだが―――…
「―――トイレ…」
「ぁあ?」
突然、そう呟いたかと思うと、茅乃はふらふらとした足取りで歩き出す。
そんな茅乃の姿を呆然と見ていた俺だったが、茅乃がふらふらとしながら玄関へと直行していくのを見て、ハッとする。
あいつ、寝ぼけているせいでここがどこかわかってないんじゃ!
「待て待て待て、茅乃! トイレはそっちじゃねぇ! 行き過ぎだ!」
玄関の前まで来ていた茅乃を捕まえて、トイレの場所へと連れて行く。
「ほら、ここがトイレ」
茅乃はジ~っと俺のことを見てきたかと思うと、ゆっくりとトイレへと視線を向ける。
こいつ、大丈夫か?
さすがに俺も、トイレを手伝うわけにはいかないし。
そこは自分一人でできるよな?
っていうか、絶対にしろっ!
「なんで、圭くんがここに居るの? ここって――…」
トイレからまた、俺へと視線を向けて首を傾げる茅乃。
今度は眉を顰めて険しい顔をしているところを見ると、今のこの状況を必死に考えようとしているらしい。