子供+大人=恋?の方程式(応用編)


「どうでもいいけど、とりあえず、トイレなんだろ?」





 いつもなら、ぎゃあぎゃあとうるさい茅乃だが、寝ぼけている茅乃は従順らしく、コクリと頷くと素直にトイレへと入って行った。





 大丈夫かと心配ではあるが、トイレの前で待っているわけにもいかない俺は、元いた場所へと戻り、座った。


 それでも、意識はトイレに向いたままだ。





 暫くして、水が流れる音が聞こえてきたかと思うと、トイレのドアが開いた。


 俺の方へと視線を向けてきた茅乃と俺の視線が、がっちりとかち合う。


 途端に、バッと視線を逸らし、俯く茅乃。


 どうやらこの反応からして、目が覚めたみたいだな。


「ほら、何突っ立ってんだよ。こっち来い」





 じ~っと立ち尽くす茅乃に、手招きをして呼び寄せる。


 すると、茅乃はしぶしぶこっちへと歩いてきた。


「俺も寝るから、お前、先にベッドに入ってろ」


「えっ!?」


「何驚いた顔してんだよ」


「だって、圭くん、どこで…寝るの?」





 今頃になって気づいたのか、茅乃は不安げな顔で俺のことを見てくる。


 こいつ、わかってねぇな。


 俺、自分でも自覚してるけど、生粋のドSだぞ。


 そんな不安そうな顔みたら、ますます俺がからかいたくなるって思わないのか?


 だから、追い打ちをかけるように言ってやった。


「そこに決まってるだろ?」





 ベッドを指さしてやると、茅乃は声にならないのか、口をパクパクさせた状態で俺とベッドを交合に見る。


「ほら、先に入ってろって」





 それだけ言うと、俺は洗面所へと向かった。


 さてと、茅乃の奴、どうするかな?


 俺の言うとおりに大人しくベッドに入っているか。


 それとも―――…





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