子供+大人=恋?の方程式(応用編)






 なんか、気まずい………。


 どうして、圭くんは何も話さないのよ!





 おまけに、夜ということもあるからか、昼に聞こえる喧噪も今は身を顰めて、外からの声や音もあまり聞こえない。


 それが、より一層沈黙度をアップさせているようにあたしには思えて仕方なかった。





 ココアが喉を通る時に聞こえてきた音が、やけに自分の耳に響いた。





 な、何か話さなくては!


 圭くんが口を開こうとしないのであれば、この沈黙を破るには自分から話すしかない。


 だけど、話すって何を?


 何か圭くんに話せるような面白いことってあったっけ?





「そういや、茅乃」





 頭の中で必死に考えを巡らしていたところで、突然名前を呼ばれてあたしは顔を上げた。


「俺、ずっと気になってたことがあるんだけど―――…」





 気になっていたこと?


「何?」


「お前、俺のどこに惚れたの?」


「・・・・・・・・」


「―――茅乃?」


「はいっ!?」


「なんだよ。いきなり大声出すなよ」





 大げさに耳を抑える圭くん。


 だけど、そんな圭くんの行動も気になんてしてられない。


「これが大声出さずにいれるわけないでしょっ!? 

いきなり、なんてことを…むぐっ…」





 興奮していたあたしの口を圭くんは慌てて近寄ってきて手で塞ぐ。


「ばかっ! 

一応、時間を考えろよ。

こんな時間に大声を出すなよな」





 だ、誰のせいでっ!





 そう言いたいけど、口を塞がれているあたしは目で訴えるしかなくて、圭くんを睨み付ける。


「―――そんな目で見るな」





 じゃあ、この手を離せっ!


 あたしは、その意思表示として、自分の口を塞いでいる圭くんの手をバシバシと叩いた。





 あたしの意思表示が通じたのか、圭くんはあたしの口を塞いでいた手を放してくれた。


 あたしは今まで塞がれていた空気を一気に吸い込む。


 だけど―――…





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