子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「ねぇ、圭史くん。この車って、圭史くんの?」
「え? あ、まあ…」
「す、すっご~い!
圭史くん、自分の車持ってるんだ~」
「持ってるって言っても、この車、中古だけどな」
「でも、すごいよ~」
目をキラキラさせて、俺のことを見てくるあゆ。
大学生の俺からしたら、別にすごいと言われるようなことでもないと思うが、考えてみたらあゆはまだ高校生なんだよな。
だから、俺にとっては何気ないことでも、すごいと思うのかもしれない。
茅乃も時たま、こんな風に驚いてたりすることあるもんな。
そんな風に思っていると、突然視線を感じて俺は横を見る。
「どうした?」
「ううん。なんでもない」
首を横に振るあゆ。
それから照れたように笑ってから、あゆは徐に俺の手を握ってきた。
―――え…?
「ほら、圭史くんっ! 早く家に入ろう!」
「え? あ、ああ…」
一瞬、手を握られた時は思わず狼狽えてしまったが、どうやらあゆにとっては深い意味なんてものはないらしい。
そりゃそうか。
いくら長い間会っていなかったとしても、俺たちは従兄妹なんだし、そんな俺たちの間に深い意味なんてあるわけないよな。
俺はあゆに引っ張られるままに、家へと入った。