子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「それならさ~…。
いっそう、その真鶴さんの思い込みを本当にしちまうか?」
「・・・・・は?」
俯いていた茅乃はバッと顔を勢いよく上げると目を見開いて俺を見てきた。
だけど、にやりと笑ってやると、ビクッと肩を上げ、顔を引きつらせる。
「じょ、冗談…だよね?」
「冗談?
俺は、本気だけど?」
気持ち、後ろへと体をそらす茅乃に俺は四つん這いになりながら近づいていく。
すると、茅乃は尻を付けたまま、手と足を動かして後ろへと下がっていった。
「しょ、正気!?
だって、今、下にはママが!」
「別に真鶴さんだったら、大喜びしそうじゃねぇ?」
「いやいや。
あたしが言いたいのはそういうことじゃなくて!」
ちゃんと、茅乃が何を言いたいのかはわかってる。
だけど、俺はあえてそれに気づいていないふりをする。
「大丈夫だって。
真鶴さんだったら、俺たちのこと邪魔したりしてこないって……」
近づいた距離に、そっと耳元で囁くと、茅乃がピクリと目を瞑り反応した。
だから…。
こういう反応が男を刺激するんだってこと、わかってるのか?こいつは。
―――いや。わかってないな。
こいつに、恋愛に関して駆け引きなんてものができるはずもない。
素でやってるから性質が悪い。
こいつは、多分知らない。
俺が、いつ茅乃が他の誰かのものになってしまわないかと不安に思っているってことに。
半ば強引に手に入れたからこその不安なのかもしれない。