子供+大人=恋?の方程式(応用編)





 店の中だというのに、大きな声を出してしまったあたし。


 だけど、今はそんなことを気にすることもできなくて―――…


「ちょっ! ちょっと、圭くん!!」





 慌てて圭くんの手にある雑誌を取ろうとするものの、身長差が邪魔をする。


 ぴょんぴょんと跳ねてなんとか取ろうとするものの、圭くんはそれを高く上げて表紙をジッと見た。


 それから、にやりと笑いあたしのことを見てくる。





 やばい……。


 見られた…というより、知られた!!


「え、えっと……。

あたし、今日は早く帰らなくちゃ! じゃあね!」





 ぐいんと回れ右をし、その場からダッシュで逃げ去ろうとする。


 だけど、あたしの行動はワンテンポ遅かったみたい。


「ちょっと待て」





 逃げ出そうとしたあたしの腕を圭くんの力強い手が掴む。





 ヒ~~~ッ!!!

 離して~~~!!!





 ブンブンと手を振り、なんとか引きはがそうとするけど、圭くんの手は緩まることもなく、あたしの手が外れることもない。





 逃げたい!


 早く、この場から逃げ去りたい!!


「よし、茅乃。この雑誌は俺からお前にプレゼントしてやろう」


「け、結構です!!」


「なんで? 気になってるんだろ? 『十代の女子の初体験!』が」





 あたしの耳に囁くように言う圭くんに、まさしくその通りだったあたしの顔は、見事に真っ赤に染まる。





< 59 / 187 >

この作品をシェア

pagetop