子供+大人=恋?の方程式(応用編)
*
今、ここから逃げ出すのは無理だろうか?
駐車場に車を停め、雑誌が入った袋を手に持ちながら、運転席から出ようとする圭くん。
そんな圭くんの動きを視線に入れながら、あたしはこの場から逃げ出せる算段を頭の中で必死に巡らせる。
だけど、あたしの頭の中で策を巡らせる前に、圭くんの手があたしが乗っている助手席のドアへと伸びてきた。
そして、スッと開けられるとあたしの考えなど読んでいたのか、圭くんはニッと笑う。
「今更逃げ出そうだなんて考えても無駄だからな」
どう考えても悪役のセリフだとしか思えない言葉。
だけど、圭くんが口にするとそれさえも魔性の響きを携えるから不思議。
かっこいい人って、何を言ってもしてもかっこよく見えるって言うけど、それって本当のことだと思う。
「ほら、いつまでも座ってないでさっさと降りろ!」
「………横暴だ…」
「ぁあ!?」
ぼそりと呟くと、あたしを睨み付ける圭くん。
全く、どうしてこうも圭くんは横暴なんだ?
そして、どうしてあたしはこんな横暴な圭くんのことを好きなんだろう?
好きになってしまったんだろう?
ぎゃあぎゃあと言いながらも、なんだかんだと圭くんと一緒にいることを喜んでいる自分がよくわからない。
もしかしてあたし、圭くん菌に冒されてるとか!?