子供+大人=恋?の方程式(応用編)
ムカつく……。
頭もいいし、顔もいいし、おまけに足も速いってどういうこと?
圭くんの住むマンションの敷地から出て、十メートルほど進んだところであたしは無残にも圭くんに捕まえられることとなってしまった。
「待てよ…」
暴言を吐き、逃げ出したところまではよかった。
だけど、まさかこんなにすぐに捕まるなんて想定してなかったから……。
捕まった後のことなんて、全く頭の中になかったよ………。
ど、どうしよう……。
圭くんが怖くて、振り返ることができない………。
絶対に、鬼のような形相をしているに違いないもん!
「茅乃?」
あたしを呼ぶ圭くんの声が優しいことに気づきながらも、そのまま素直に振り返ることなんてできなくて……
「――悪かった…。さすがに、俺もいろいろとやりすぎた」
圭くんが謝ってくれてる。
だから、「いいよ」と許してあげるのがいいんだと頭ではわかってる。
だけど、このあたしの性格が災いして素直に「いいよ」と言えない。
あたしは振り返ることもせずに、ジッと地面だけを見つめていた。
「―――っ!?」
素直になれない自分。
ジッと地面とにらめっこをしていたあたしの背中からふわりと温かい感触が伝わってくる。
「け、圭くん…?」