子供+大人=恋?の方程式(応用編)
突然の行動に、あたしは思わず圭くんの名前を呼びながら振り返る。
「やっと、こっち見た」
ニッと笑う圭くんの顔を見て、こういう行動を取れば、あたしは驚いて振り返るということも想定していたのだろうと今更ながらに気づく。
「ごめん、茅乃。ちょっと、うれしくてはしゃぎ過ぎた」
あたしのことを後ろから抱きしめたままで、圭くんはそんなことを言う。
うれしくてって、何か圭くんが喜ぶようなことがあったっけ?
「雑誌…」
「雑誌?」
「俺、口ではからかってああいうこと言ってるけど、ちゃんと茅乃の気持ちが決まるまでは、気長に待つから」
「えっ!? 嘘…」
思いも寄らない圭くんの言葉に、あたしは口からポロリと思ったことが出てしまった。
「嘘ってなんだよ。お前さ…。俺のこと、血も涙もない鬼畜野郎だとか思ってないか?」
思ってます。
だって、いっつも横暴だし、自分勝手だし………。
「あのな…。俺はこんな性格だから、すっげぇ優しくとかできないけど、俺は俺なりにお前のこと大事に思ってんだよ……」
あたしの肩に顔を埋めている圭くん。
だから、顔を見ることはできないけど、耳の赤さを見ると、圭くんが今すごく照れているのがわかった。
きっと、あの圭くんのこと。
死ぬほど恥ずかしさを感じているに違いない。
だって、圭くんがこんなに素直にあたしに対して言うなんて今までなら、絶対にあり得ないもん!
だから、あたしも少しだけ素直になってみる。
「―――これからは、少し優しくしてくれるとうれしい……」
ぼそりと呟くと、肩ごしに圭くんがピクリと反応したのを感じた。
「善処するように、がんばる……」
「ぜひ、お願いします………」
あたしは後ろから抱きしめている圭くんの手に自分の手を乗せた。