子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「酷い!
あゆのこと忘れて、二人だけで仲良くしないで!」
言い合いをしていたあたしたちの間を割って入るような形で目にいっぱいの涙を浮かべながら、あゆさんは圭くんの腕に絡みついた。
「―――あゆ…。
ここまで言われてもわからないか?
俺は…」
「わかってるよ。
いくらなんでも、あれだけはっきりと言われたら、あゆだってわかるよ。
だけど、あゆはずっと圭史くんだけだったんだもん!」
ぷぅっと頬を膨らませて、圭くんのことを見るあゆさんは、女のあたしから見ても、すごく可愛い。
いくら従兄妹だからって、こんなに可愛い人を相手に、一瞬でも心がぐらついたりなんてしないのかな?
それも、一心に自分のことを想い続けてくれている人を―――…
「―――あゆ…。
俺が知らないとでも思ってるのか?
お前の情報はいろいろと耳に入ってきてるけど?」
「な、何が?」
「彼氏…、居たよな?
俺、この前会った時にガキの頃に約束したとか言われて、一応、悪いな…とか思ってたんだけど、よく思い出すとお前、彼氏いなかったか?
そう思って、お袋とかにも聞いたんだけど――…」
「い…、いないよ~…」
明らかに動揺していると思えるほど狼狽えているあゆさん。
その焦りっぷりは、まさしく『いました』と言っているも同じもの。