子供+大人=恋?の方程式(応用編)





 もしかして、一途にとかって違う?


 約束約束って、やたらと言うから、あたしはてっきりあゆさんは圭くんを一途に想っているとばかり思ってたんだけど―――…


「どっちみち、俺がお前を選ぶことはないから。こんなところまで来られても迷惑なだけだから。ほら、行くぞ」


「―――え…?」





 いきなり圭くんに腕を掴まれ、あたしはそのまま圭くんに言われるままにあゆさんの前を通りすぎ、圭くんの部屋の前まで連れて行かれる。


 あたしは、圭くんが部屋の鍵を開けている間に、あゆさんのことを見る。





 俯いたままの状態で、こちらを見ようともしないあゆさん。


 このまま、あゆさんをほっておいていいの?


「圭くん」





 思わず、圭くんに声をかけるけど、圭くんはたぶんあたしの声が聞こえたはずなのに、何も言わずに部屋のドアを開けると、強引にあたしの腕を掴んで部屋の中へと押し込んだ。


「圭くん、いいの!?」





 あたしの問いに答えることなく、圭くんは靴を脱ぎ部屋の中へと入って行ってしまう。


「ねぇ、圭くん!?」





 だけど、あたしはあのままの状態であゆさんをほったらかしにしておくのはどうかと思う。


 家が近所とかならまだいい。


 でも、あゆさんは圭くんのあの口ぶりからだと遠くからわざわざやって来たみたいだし。


 きっと、この辺りの土地勘とかないはず。


 そんな彼女をあのまま放置しておくなんて―――…





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