子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「どこに行く?」
ドアノブに手をかけたところで、圭くんの声がすぐ近くから聞こえてきた。
部屋の中に入っていたと思っていた圭くんは、いつの間にかすぐあたしの傍まで来ていて、ドアノブに手をかけていたあたしの手に自分の手を乗せる。
あまりの至近距離に、不覚にも心臓がどきんと跳ねる。
「あ、あゆさんをこのままには…」
「無駄に人に同情しすぎると、痛い目に遭うぞ。前の静香の件で懲りたんじゃないのか?」
「うっ…」
つい最近自分の身に起こった件を出されると、何も反論ができない。
確かに、無駄に同情をかけて大変な目に遭ったことはある…。
今回の件も、立場は違うけど同じような問題。
圭くんのことを好きな女の子が、圭くんに気持ちをぶつけて拒否られて―――…
「だけど……」
痛い目に遭うかもしれないというのは、わかってる。
下手に気にする必要なんてないってこと。
関わっちゃったらダメだってこと。
だけど―――…
傷ついているあゆさんを、土地勘もないこんなところで冷たく放り出すなんて、あたしにはできない!
「はぁ~…」
思いっきり、圭くんにため息を吐かれたかと思うと、軽くポンッと頭の上に手を置かれた。
「貸し一つだからな」
「へ?」
と、思った時にはすでに圭くんはあたしの手ごとドアノブを回し、部屋のドアを開けた。