子供+大人=恋?の方程式(応用編)
大切な存在
助手席に座っているあゆは、何か言いたげに俺のことを何度かちらちらと見てくる。
「なんだ? 何か言いたいことがあるなら、さっさと言えよ。俺はお前を駅に降ろしたら、即帰るつもりだから」
前を向いたまま、そう言うと、あゆは不服そうに「え~…」と不満を口にする。
「駅ですぐにさようならって、なんか淋しいよ………」
「駅前のロータリーに車を停めるスペースはないし、茅乃が家で待ってるからな」
「また、茅乃って……。圭史くんは、一体あの子のどこが好きになったわけ?」
なんとなく、茅乃を見下したような言い方に、ムカッとする。
あゆにしたら、無意識のことかもしれないが、言葉の端々に茅乃に対して見下しているような言い方が、やたらと耳につく。
「じゃあ聞くけど、お前は茅乃が俺の彼女だということのどこが不満なんだ? まさか、自分のほうが茅乃よりも勝っているとか相応しいとか、馬鹿なこと考えてるんじゃないだろうな」
「……っ、ち、違うよ!」
運転中だから、あゆの表情を見ることはできないが、言葉からも動揺しているのがわかった。
こいつ……。
図星かよ………。
自分の従兄妹ながら、ムカつく……。
ちょうど信号が赤に変わり、俺はブレーキを踏んだ。
それから、あゆへと視線を向ける。
「俺が誰と付き合おうが、あゆに関係があるわけ? あゆの許可が必要なのか?」
「そっ、そんなことはないけど……」