子供+大人=恋?の方程式(応用編)
*
駅に着いた俺は、シートベルトを外しているあゆの頭を軽く叩いた。
「―――がんばれよ」
あゆは一瞬驚いた顔をしたかと思うと、眉を寄せて笑う。
「圭史くんから、あゆに触れてきたのって、これが初めてだね」
「―――え? あ、そうか…?」
「こんなに大事にされている彼女が正直羨ましい。だからかな。ここまでムキになったのは、本当は羨ましかったからかもしれない」
「あゆ…」
「圭史くん、ありがとう! あゆ、がんばるからね! どうなったかは、後で報告してあげるよ。―――あとね、圭史くん…。圭史くんは、人の気持ちはこの先どうなるのかはわからないって言ってたけど、できれば、ずっと彼女のことを想い続けていて欲しいな。これは、あゆ的希望ということで! それじゃね!」
まるで言い逃げのようにして、あゆは車から飛び降りた。
駅の改札を通る時に、一瞬だけ振り返り軽く手を振るあゆに、俺は片手だけ挙げてから車を動かした。
「サンキュ…、あゆ……」
あゆが彼氏と別れたように、俺たちの未来だってこの先何が起こるかわからない。
あゆ…。
お前は、茅乃が高校生の子供なのにって言ってたけど、俺はそれも心配なんだ。
四つの年の差は、結構大きいものだ。
茅乃がいつ、俺じゃない同じ高校生の奴のことが好きになったと言い出さないかと不安に思ってるなんて知らないだろ?
だからこそ、早く茅乃を繋ぎ止めるためにも、あいつを自分のものにしたい。
笑うかもしれないが、このまま親に流される形で結婚してしまってもいいかもしれないなんて考えるぐらいに………。