子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「ふぇ?」
「ほら、返してやるよ」
「―――あ、ありがとう…」
俺の突然の行動に、茅乃は訝しげに俺のことを見てくる。
いきなり手のひらを返すような態度を取ったから、その裏に何かあるのかと警戒しているみたいだ。
でも、今までの俺の茅乃に対する言動を考えると、茅乃がそういう風に思うのも無理はないかもしれないな。
ふと今、何時かと時計に目を向けると、すでに六時を過ぎていた。
「茅乃。お前、そろそろ家に帰らないといけない時間だろ?」
「へ?」
俺に言われて、茅乃は慌てて時計を見る。
「あ・・・」
「家には連絡入れてるのか?」
「えっ? あ、まだ入れてない…」
「じゃあ、家に連絡入れろよ。今日、帰るのは遅くなるって。今から家に送るけど、この時間、道混んでるからスムーズに行っても、七時回るかもしれないからな」
「うん、わかった…」
茅乃は素直に頷くと、携帯で電話をかけ始めた。
それを見てから、俺は部屋の中を見回す。
たぶん、鍵を開けたりとかはしてないはずだが、それでも一応戸締りの確認はしておく。
この前、管理会社からこの辺りで空き巣の被害が何件か出ているっていう紙がポストに入ってたしな………。
一応、一通りの戸締りを確認してから俺は茅乃を見る。
茅乃は、まだ携帯で話し中なのか、眉を顰めて俺の方を見てきた。
なんだ?