子供+大人=恋?の方程式(応用編)
何か意味深な茅乃の視線に、電話の向こうで何かを言われているのかもしれないと感じた。
だけど、茅乃のお母さんはそれほど口うるさく言うような人ではないはずだけど………。
家庭教師のたびに、にこやかな笑みを浮かべて俺を出迎えてくれるおばさんの顔を思い浮かべる。
それに、俺のお袋と仲がいいってこともあって、お袋に負けず劣らずなぶっ飛んだ性格の持ち主でもあるし………
「茅乃、俺が変わろうか?」
もしかしたら、何の連絡もなしに遅くなることにおばさんが怒っているのかもしれない。
そうなると、強引にここに連れてきたのは俺だから、俺から謝った方がいいだろう。
「え? あ…、えと…」
大体、いつもはっきりものを言う茅乃にしては、珍しく戸惑った返事。
もしかして、相当話がこじれてるとか?
「貸せ」
「あっ・・!」
茅乃がもたもたしている間に、俺は茅乃から携帯を奪い取った。
「すみません。電話変わりました、圭史ですけど……」
『あら~! 圭史くん!』
「あ、どうも…」
てっきり、茅乃の様子からして、おばさんの機嫌がいいとは思ってなかった俺は、まさかの電話越しのおばさんの明るい声に、拍子抜けした。
俺、一応、何か言われるかもしれないって覚悟とかしてたんだけど…。
お叱りの言葉とかさ………。
なのに、なんだ?
この明るい声。
いつものおばさんと変わりないように思えるのだが………