† LOVE GAME †
里親が逮捕されて間もなく、神谷は中学生になった。
中学に入ってからも話せるのは黒沢だけだった。
それを周りの女子は嫉妬していたらしく、神谷はイジメを受けていた。
でも、神谷はイジメの事を黒沢には話さなかった。
黒沢に迷惑をかけたくないと考えたのだろう
神谷はいくらイジメられても黒沢から離れようとはしなかった
そして、神谷は移動教室中に、黒沢の目の前で三人の女子に階段から突き落とされた
病院に搬送されて3日で目を覚ました神谷には記憶がなかった。
それまでの事、全てを忘れたそうだ。
でも、神谷の人嫌いと人混みに対する恐怖が消える事はなかった。
「じゃあ、神谷は今、理由は分からないけど人嫌いで人混みに恐怖を感じてるんだな…?」
俺がそう聞くと黒沢は頷いた
「思い出させちゃいけねぇんだ。
思い出させたら…未来が今度こそ壊れるから。
塞ぎ込んじまうから…。」
「そうなのか…」
「未来、いつも裏庭で歌ってるだろ?」
「あぁ…」
「未来の両親、音楽が好きだったんだよ。
だから未来も音楽、好きみたいでさ。
歌う時だけは笑ってくれんだ。
昔は…俺の前では歌わずに笑ってくれてたのに…。
未来から笑顔を奪ったのは俺なんだ」
そう言った黒沢の声は今にも消えてしまいそうな程、弱々しかった。