追憶の緋月桜


探るような銀の瞳が私に向けられる。


「まぁいい。同業者だ、一応は。俺は門真院宵皇だ、」


私に言え、と睨んでくる。
隠れるように小さく溜め息をつく。


「私は、神月緋桜。神月神社の巫女。よろしく、門真院の次代当主さん?それとももう襲名したのかしら。」

「さぁ、まぁ強ち、間違ってはいない。それでコイツが、」

「宵の片割れの門真院凰夜。」


「……宵に夜。片割れ」


小さな声で呟く。
確かに、しっくり来た。
闇色を持つ2人の名なら。


「ま、俺とコイツは双子だ。」


仲睦まじく、笑い合う2人の姿が容易に創造できた。。
私は知らず知らずの内に笑みを浮かべていた。


「姫様ー、緋桜姫様ー、」


屋敷から聞こえる声に溜め息をついて。
彼等に向き合う。


「去れ、ここにいてはいけない。」

「なんでだ。一応は同業者なのだろう?」


凰夜、が屋敷を見ながら言う。
他の家がそうであったのか、


「“一族”は“一族”以外を受け入れない。だから、ここへ来てはいけない。殺されてしまう。」


私の、何かを察したのか2人はまた、と言って素直に去ってくれた。だんだんと遠ざかる気配に安堵しながら私は屋敷へ向かった。



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