追憶の緋月桜


体力を奪われかけてる今。
この相手は少しキツい。


でも、放っておくと更なる被害が出る。



夜が動いて、相手の体を拘束しようとするが素早く動いて的を絞らせない。


「………っ束!」


やった、と思った瞬間夜が吹き飛ばされた。


「!?夜っ!!」


微かに返ってきた応えに安堵した瞬間に俺も吹き飛ばされる。


受け身をとり、迷わず攻撃を放つ。
鬼の苦しむ声が聴こえて、あと少しと思った瞬間。腹に衝撃が走る。


「!……っく!」


ヌメリとした感覚。ドクドクと血が流れ出るのがわかる。


目の前に鬼が月明かりに血色に光る爪を振り上げて………



一か八か、このまま滅してみよう。と思い痛む腹を抑えて機会を狙った瞬間、



―――さくらの花弁と香りが舞った。



その直後、黒髪が視界を占めて鬼の叫び声とともに邪気が去ったのがわかった。


俺は、茫然と彼女を見る。


「………ひ、おう…?」


そんな訳はない。
彼女が、こんな………。



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