追憶の緋月桜
「言ったでしょ?私の血は特別だから」
そう、特別なの。
"神月"の血は濃ければ濃いほど特殊な"クスリ"になる。
それ故にあらゆることに使えるけど、副作用もある。
宵だから、"門真院"という血を持っているから大丈夫なだけで。
「巫女だもの。」
血を受け継いでいく存在が記憶をも紡ぎ出して皆は疎ましく思っているだろう。
それでも、殺さず崇め生かす。
自分達の利益のために。
百華叔母様がその筆頭だけれど。
「お前がどう思ってるかはわからないが、確かにあのとき、俺は助かったのだ。」
真っ直ぐな瞳で私を見て、困らせる。
銀、が少し強くなった気がした。
"私"の血が入ったからだろうか、銀の鎖が強く脆くなっている。
後少しで力にも変化が訪れる。
覚醒しきったら、私なんか適わなくなってしまう。
「緋桜?」
ぼーっとしてたので名を呼ばれた。
ただ、それだけなのに―――………
トクン、と胸が高鳴る。
あぁ、彼とは違うのに。
同じ瞳で見てしまう。
違う、とわかっていても同じ、なの。
彼、あの人と、同じなの。
何ともいえない気持ちが渦巻いて泣きたくなる。