第三ボタンの価値






「今帰り?」






そう言ったのは、真っ黒な黒髪に目がややつりあがった同級生であった。

普段は冷たいくせに、なにかと助けてくれる幼なじみ。
どうしてここに?



彼とは学校こそ別であったが、彼のおばあちゃんが私の地元にいることで、長期休みによく彼を見かけていた。
小学生の時こそ、そうやってたまに会うと少しだけ遊んだ。中学生になって再会し、何となくそれから付き合いが続いていた。

きっと、その辺の女子よりも付き合いが長く、信頼していた。




変わったな、と思う。




強かった私が、今では弱くて人が怖い臆病者に。

弱かった彼が、今では強くて立派な青年になったのだから。








「あ」

「なに」

「やっぱり恭弥はもてるねえ。しかも第二ボタンもないってことはまさか、本命に…?」

「何それ。第二ボタンがどうのって」







まさか本気で知らないのか?
そう思うとおかしい。







>>
< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop