催涙雨
降り続いていた雨が
ふっと止んだ───‥。
『雨が───‥』
「ああ。‥笑ってるな。」
『…ほんとだ。笑ってる。』
雨上がりの夜空には
眩い星たちが
競いあうように瞬いている。
『ねえ、葵。天体観測しようよ』
「天体観測?」
『そ。葵の望遠鏡あるでしょ?』
「ああ、あるけど‥」
『使い方は大丈夫。
あたしできるから‥!』
「海、おまっばかして‥」
手を繋ぎあたしたちは
部屋を飛び出し
夜空の下に駆け出す。
輝く星が、彼の耳にひとつ。
繋ぐ手と手に、ふたつ。
星の輝きは、
あたしたちの絆の証。
愛を貫くとゆう、想いの叫び。
ねえ、葵───‥
ステージの上で輝くアオイは、
こうなった今でも
届かぬ星なのだと、思う。
けど───‥
1年に一度なんて
いじわる言わないで‥
毎日会いにきてくれるよね?
あたしの、彦星様───。
【END】