催涙雨




「俺、アイドルグループの一員として日本で活動するんだ。」



アイドルグループ…?



「アイドルグループ、ANY(エニー)。
イニシャルAが俺、アオイ。」



ANY…初めて聞いた。

きっとアオイのために
新しく作られたグループだ。



「…そこで。さっきの恭の彼氏が
出てくるワケ。」



『恭ちゃんの彼氏?』



「イニシャルN、ナオヤ。
それが恭の彼氏だ。」



そうなんだ…。
でもそういえば…



『葵は恭ちゃんのこと
知ってるの…?』



「え?まあ。一度だけ会った。
ナオヤと事務所の地下駐で
喧嘩しててさ…。
俺はすぐその場逃げたから
恭の顔、よく見てないけど…。」



『へえ‥』



「あと一回だけ電話した。
ナオヤに頼まれて
俺が代わりに出たんだ。」


なんかそれはちょっと
…むっとする。



「妬くなよ。」



そう言ってあたしの頬をつねる
葵はなんだか楽しそう。



「アイドルグループって言っても
ナオヤは顔とスタイルがいいから
モデル界じゃかなりの強者だし、
もう1人のメンバーのユウマも
音楽の才能はピカイチだ。
俺だって、演技もモデルもやるし
…新しい感じのアイドルだな。」



俺らは顔だけじゃないぞ、
葵は自慢げな顔でつぶやいた。



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