催涙雨






″───‥俺の織姫も、
嬉し涙流してるし。″




葵の指の腹が
あたしの頬を撫でた。



「ったく…、泣きすぎだろ。」



あきれたように笑う葵に
そっと笑いかけた。

反抗する気にはなれなくて…



あたしの彦星様に、
いまできる最高の笑顔を‥。





『彦星様に会えて、うれしい‥』



「ふっ‥───ああ。」



照れたように笑いを漏らした葵も
まんざらではないように
優しい笑みを浮かべている。






─────天の神様‥


あたしの願いを叶えてくださって
ほんとうにありがとう。


やっぱりあなたは
優しい神様です

天の織姫様と彦星様も‥
会わせてくださいましたよね?


きっとそうだと‥
地上から願っています



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