独り占めさせて
大学にて
木曜、午後4時過ぎの文学部第3演習室。
いつものように三々五々、ゼミの仲間が集まってきて、
談笑の合間に、担当者がレジュメを配り出す。
今日は、佐藤君と本田君の、2年生コンビが担当。
飲み会ではムードメーカーの彼らも、ゼミではいつも鋭い洞察力を見せてくれる。
全員にレジュメが回ったのを見計らい、佐藤君に声をかけた。
「じゃ、始めようか」
だけど。
「すいません、ゼミ長。
今、本田が、足りない分コピーしに行ってるんで、もう少し待ってもらえますか?」
部屋を見回すと、たしかに本田君がいない。
そのとき。
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