独り占めさせて
「すみません、遅くなりました」
声で、本田君だろうと見当をつけて、ドアに目をやったのだけど。
――ドクン!
だれ?
見覚えのない、背の高いメガネ男子に、視線を奪われると同時に、
心も奪われた。
ウソ……。
この人、私の理想、そのままじゃない!
細面の顔に、黒縁メガネが見事にハマって……。
大学内に、お気に入りのメガネ男子は何人かいるけれど、
ここまで完璧に、理想を現実に投影させたような人は、初めて。