お望み通り、触れてあげようか
デスクワークの時だけ着用する銀縁の眼鏡は、彼の怜悧な視線を丸くするどころか余計に尖らせている。
「ひとがわざわざ残業してまで手伝ってるのに、フォローされる君のどこに余所見をする余裕があるんですか」
身の程知らずですね、と冷たく吐かれて、私はがっくりと項垂れたくなる。
同期のよしみだか何なのか知らないが、この男は私に対しての風当たりが強い。
同じ部署だし同期だし、仲良くやろーぜ! って思っていたのは私だけだったんですねわかります。
まあ、今となってはそんなこと微塵も思っちゃいませんが。