お望み通り、触れてあげようか
どこか遠い場所へ思いを馳せていると、ひょいっと伸びてきた腕がくるんっと私の回転チェアを回した。
いきなり何をしてくれるんだよと犯人を睨めつけていると、当の本人はさっきので右足の甲をガコンと容赦なく机にぶつけた私を労るでもなく、いけしゃあしゃあとこんなことを曰った。
「君は、俺のことだけ考えて、俺に振り回されてればいいんです」
グッと急に腕を伸ばしたせいで、スーツがピタっと張り付いて、隠された腕の形が顕になる。
その布の下には、浮き出た太い血管と、適度に引き締まった筋肉とが隠されているのだろう。
その腕は、やっぱり氷のように冷たいのだろうか。
それとも、触れたら火傷をしちゃうくらい、燃えるように熱いのだろうか。