内緒でイイから、キスして

なのに、

なんで?

こんなに避けてるのに、

どおして会っちゃうんだろう。



「ネェ~写メ撮らせてよお」

「ダメ」

「も~ケチぃ~」



たくさんの女の子に囲まれて、

渡り廊下に彼がいる。


担任でもないし、

授業以外で会うなんてめったにないのに……



ーーどおしよう……



キョロキョロと逃げ道を探して、

別ルートで職員室に戻ろうと考えたところで、



ーー……ぁれ?



違和感に目が止まった。


だって、

相手の顔を見もしない。

その、そっけない態度はいつのものままなのに、

何だろう……

何だか今日の彼は……



「ねぇ~イイじゃん」

「ダーメ」



そう、

床に視線を落としたまま、

少し大人びた表情で微笑んだ。



ドクん……っ



響き渡る黄色い声の片隅で、

昨日の彼が蘇る。






< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop