内緒でイイから、キスして
なのに、
なんで?
こんなに避けてるのに、
どおして会っちゃうんだろう。
「ネェ~写メ撮らせてよお」
「ダメ」
「も~ケチぃ~」
たくさんの女の子に囲まれて、
渡り廊下に彼がいる。
担任でもないし、
授業以外で会うなんてめったにないのに……
ーーどおしよう……
キョロキョロと逃げ道を探して、
別ルートで職員室に戻ろうと考えたところで、
ーー……ぁれ?
違和感に目が止まった。
だって、
相手の顔を見もしない。
その、そっけない態度はいつのものままなのに、
何だろう……
何だか今日の彼は……
「ねぇ~イイじゃん」
「ダーメ」
そう、
床に視線を落としたまま、
少し大人びた表情で微笑んだ。
ドクん……っ
響き渡る黄色い声の片隅で、
昨日の彼が蘇る。