紅一葉。
「秋の紅葉が綺麗だ」

もう秋だったのか。
私は紅葉を拾うと、ハンカチに挟んだ。

「どうするのだ?」

「栞にするのです」

「ならこっちが良い」

彼が私に差し出してくれたのは、真っ赤な紅葉。

「ありがとうございます」

「そろそろ帰ろう」

彼は私の手を取りゆっくり歩いてくれた。



あぁ、何て幸せだ。
私はまだ知らなかった。
こんな幸せが、永遠に続くと信じていた。
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