novelette
お父さんとのほんとのおわかれの日がきた。
お母さんたちは「おそうしき」って言ってた。

お父さんの友だちとか、「ぶか」とかいう人たちがいっぱいきた。
みんなぼくたちとおなじような、黒いふくをきて、かなしそうにお父さんのしゃしんを見てた。泣いてる人もいた。



「おそうしき」がおわると、きれいなおねえさんがぼくたちのとこへやってきた。

お母さんとおはなしをしたあと、ぼくたちのまえにかがんでいろいろはなしてくれた。

どんなことをはなしてくれたかはあんまりおぼえてない。
「しっかりお母さんを守ってね」とかそんなかんじのこと。

そのおねえさんの大きな目に、いまにもこぼれそうななみだがたまっていたことと、とてもふしぎなきもちをかんじたのははっきりとおぼえてる。

…だいじょうぶ、お母さんはぼくがまもるから。

そう言うとおねえさんはすこしわらって、かえっていった。…かえっていっちゃった。






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