novelette
数日前、私の姉の夫、つまり義兄が亡くなった。

事故だった。

朝の通勤ラッシュの人混みに押されて、線路に落ち、そこに電車が…

義兄はまだ30代で、幼い双子の兄弟がいたのに。
さぞ、無念だったろう。

私もすごくお世話になっただけにやりきれない。

義兄の葬儀の後、姉とその双子の兄弟と少し話をした。
姉には今後出来ることは力になることを、兄弟には仲良く良い子に育って欲しいということを話した。

その時の双子のことを思い出すと胸が締めつけられる。


それは、
…今日があの双子の兄の葬儀だからだ。

自宅の階段から落ち、すぐに病院に運ばれたがまもなく息をひきとったと聞く。

式中の姉は、数日中の立て続けの不幸に悲痛を隠せず、慟哭するばかりで、それがあまりにも痛々しかった。

残された弟はソワソワ落ち着きがなく、辺りをキョロキョロしてはガッカリしている。…亡くなった兄を探しているのだろうか?

…私にお焼香の順番が回ってきた。
遺族に向かい一礼をした時、私を見た双子の弟は小さく、でも確かに呟いた。













「ほら…やっぱりきてくれた」



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