call my name
2章
飛行機雲をなぞって
蝉の煩い季節に移り変わった。
まだ10時過ぎにもかかわらず気温は30度を超え、外で立っているとショートの髪を伝って汗が滴ってくる。
目の前のグラウンドでは、部員達がボールを追いかけて走っている。
結局、あたしはマネージャーとしてサッカー部に入部した。
希望者が多く、抽選という形になったが、幸いなことにあたしも美咲も選ばれた。
今年はあたしと美咲を含め四人。
残りの二人は高橋奈々美と蔵持景子だ。
あたしと奈々美が同じ医学科、美咲と景子が看護の友達らしく、お互いのことを知るのに時間はかからなかった。
今年の1年生は部員が8人のマネージャーが4人。
サッカー部の中で一番多い人数だ。
新歓では午後の部としてOB、OGの方々とのサッカーが行われた。
そこで教わったマネージャーの仕事。
水汲み、練習ではお茶、試合ではスポーツドリンクの用意、時間の計測、ボール拾い、部員が怪我した時の手当てなど、これまでには一度もしたことのないことだった。
その時はそういう話をされ、先輩マネの仕事を見よう見まねでやっていた。
今後ある大会があたし達1マネの初めての仕事となるということも聞いた。
夜の部ではバスで移動して、少し高そうな居酒屋で新歓が行われた。
部員は自己紹介と杯でビールを飲む、ということをやっていた。
自分よりかなり上の先生方と話すことはかなり緊張したのをよく覚えている。
1次会では、それほど飲むというよりは顔を覚えてもらう、ということだったが、2次会は荒れに荒れた飲み会だった。
毎回利用するらしい飲み屋に移動して、カラオケの音楽が流れながら延々と飲まされた。
1年を全員潰す、ということが終わる目安らしく、とにかく何かってもなくてもお酒が出てきた。
この時初めて飲んだウイスキー。
お世辞にも美味しいとは思えなかった。
苦しい思い出しかない。
気付いた時には、あたしの部屋で美咲と二人で寝ていた。
それも懐かしい2ヶ月前のことだ。