詩音-shion-
しおん
――最っ悪だ。
今日は席替えで。
ついさっきまで浮き足立っていた気持ちとは裏腹に、新しい席を知ったあたしは、この世の終わりのような気持ちになった。
席の位置は一番後ろの窓際であり、何も問題はない。
じゃあ、何が問題かというと。
隣の席に"あの男"が座っていることだった。
「お、"しおん"達は隣同士か!」
ニヤニヤと笑う先生が妙にうざったらしい。
「良かったな!」
先生からも友達からもそんな言葉が投げかけられて、
「良くないし!」「良くねえよ!」
言い返した言葉はなぜかハモってしまい、私達は睨み合った。
本当に本当に、あたしはこの男が大っ嫌いだ。