永久に貴方を待っている
「あなたが、青(セイ)・ヤヨイ様ですね?」
男の瞳はヤヨイの瞳を真っ直ぐに見つめ、確認するように問いかけてきた。
しかし、ヤヨイには意味がわからなかった。
何度も繰り返すが、この国では血筋が重んじられ身分が絶対の物を言う。
最も分かりやすいものとしては、貴族以下のものには姓がないことであった。
もちろん捨て子だった自分に姓などあるはずもない。
それに青という姓は貴族の中でもかなり上級のものに値する。
ハクア王国を、正式には白亜王国と書く。
王族の姓は白(ハク)。
続いて身分のくらいとしては赤(セキ)・黒(コク)・黄(コウ)と続き、そして青が来る。
また、姓を漢字で名乗る事が許されているのは一族の直系に当たる物達だけと決まっていた。
「……なにかの、間違いではありませんか?」
呆気にとられていたものの、ヤヨイはようやくそう口にした。
貴族の中でも上級な位を持つ青家に自分が生まれていたなら、捨て子になるはずがない。
そう、確信してのことだった。