世界に1羽だけの鳥

おじさん

「あなたは…。」

「ニュースで見て来ました。あがりこんですいません。」

「いいのよ。ありがとね。」



とても優しい
飼い主の笑顔。


その笑顔には
涙のあとと、
真っ赤な瞳があった。



「インコちゃん…。」




近くで見ると



さらに痛々しかった。



羽が抜け落ち、


嘴は欠け、


瞳は濁っていた。




俺の言葉に
周りの人間は
驚いていたが


そんな事
少しも気にならなかった。




インコちゃんが




俺の声に




少しだけ




反応した気がした。
< 20 / 47 >

この作品をシェア

pagetop