世界に1羽だけの鳥
「何だ…?」


涙を乱暴にぬぐい
新しい清掃員の方に
向き直る。


「さっき言ってたのは本当ですか?」


意味が分からなかった。


「何が?」

「さっきジョアンヌに言ってたことですよ。退屈そうとか…。」

「ああ。本当だが…お前もそうだったろう?」


若い清掃員は
少し難しい顔をした。


「まぁ…大人しい事は大人しかったですけどね。」

「そうだろ?」

「ただ…。」

「ただ?」


はっきりしない。

少しもどかしくなり、
冗談ではないかと
彼の顔を
覗いてみる。

彼の顔は
真剣だった。



「何か違う気がするんです。」



はっきり言った。
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