cafe au lait
─────次の日も、私はcafe au laitの扉を開く。チリンチリンと鈴がなる。
「おはようございます。トーコさん」
この呼び鈴は、果たしてこの狭い店内でどれだけ役に立っているのかな?
今朝も店内には、お客さんが一人もいない。
「エスプレッソください」
「かしこまりました」
彼は、なんて甘く微笑むんだろう。一人しか来ない客を待ちわびてた顔だ。
エスプレッソマシンを手際よく操る、この田舎町には似合わない今時男子は柔らかそうな髪を揺らしてカップを用意した。